子育てに活かすアンガーマネジメント(「怒り」とうまく付き合うために)

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子育てに活かすアンガーマネジメント

日々子育てをしていると、「もう!何度も同じことを言わせないで!」と子供に怒りが込み上げてくることってありますよね。

子育てをしていて、子供に腹の立たない親はいないと思います。

私もそうです。

時には大きな声を出してしまい、後で後悔してしまうこともあります。

怒らないで子育てが出来たら、どんなに良いだろうかと思うことも多々あります。

怒り、それ自体は自然な感情

しかし、「怒り」という感情自体は、誰もが持つ自然な感情です。

もし人間から喜怒哀楽という感情が奪われると、もはや人間ではなく無機質な「ロボット」になってしまいます。

親が「ロボット」になってしまっては、子育てを通じて喜びを感じることも無くなってしまいます。

怒ってしまった「後悔」こそが育児に悪影響を及ぼす

子供に怒ってしまったことが、後悔や自己嫌悪の感情に繋がると、育児の「負のスパイラル」に陥ってしまいます。

親の自己肯定感が下がることでストレスが溜まってしまい、それが余計にイライラする原因になってしまうのです。

そうなってしまうと、イライラを子供にぶつけてしまい、子どもに大声を出して更に後悔する繰り返しに陥ってしまうのです。

怒りの「負のスパイラル」から抜け出すために

今回の記事では、アンガーマネジメントの方法を通じて、怒りに振り回されずに親子関係を良くするためのポイントをご紹介します。

具体的には、以下の項目となります。

親子関係を良くするアンガーマネジメント

①怒りの裏側にある「〇〇すべき」という感情を把握する
②怒りを鎮静化させるアンガーマネジメントの方法
③怒らずに子供にメッセージを伝えるためのポイント

そもそもアンガーマネジメントとは?

アンガーマネジメントとは、1970年代にアメリカで開発された感情をコントロールする手法です。

「怒りと上手くつきあうための心理トレーニング」と理解すると分かりやすいと思います。

誤解されがちなのですが、決して「怒らないためのトレーニング」ではありません

怒る必要があるときには適切な怒り方が出来て、怒る必要がないときには怒らないようにすることを目指すトレーニングなのです。

開発されたアメリカでは、もともと犯罪者のための矯正プログラムとして活用されていましたが、後に一般にも開放され、教育現場やアスリートにも応用されるようになりました。

日本では、職場内のパワハラ防止研修の一環として企業研修で受講される方も多いようです。

①怒りの裏側にある「〇〇すべき」という感情を把握する

子供に限らず、他人に対してイライラしているとき、「〇〇すべきなのに」という言葉がわいていないでしょうか。

例えば
・公共の乗り物の中では親がもっとちゃんとする「べき」
・親が何度も言っていることを子供は守る「べき」
などなど。

実は、私達のイライラや怒りは、心の中にある「べき」という言葉に潜んでいるのです。

この「べき」には、大なり小なり私達個人の「価値観」や「理想」が表れています。

なので、当然、何を理想とするかは個人差がありますし、正解・不正解が無いものも多くあります。

しかし、自分の信じる「べき」が目の前で裏切られたときに、人は怒りがわいてくると考えられています。

つまり、自分の理想と、相手の行動との「ギャップ」が、怒りのメカニズムなのです。

「私は正しい」という思い込みが怒りの原因

怒りの「メカニズム」について理解することが出来たら、次は怒りの「燃料」とは何かについて学びましょう。

怒りの燃料とは、「自分の意見が絶対に正しい」という思い込みです。

これがある限り、メラメラと怒りの火はどんどん燃え広がってしまうのです。

なぜ「自分は正しい」と思うことが危険なのでしょうか。

それは、自分の価値観や理想を他人に押し付けることついて、違和感を持たなくなるからです。

少し大げさに言うと、自分の考えに合わない人は、人類共通の「敵」と見なして、攻撃すべき対象に決めつけてしまう危険性があるのです。

当然のことですが、他人は自分の理想に沿った対応をするとは限りません。

自分は正しく、相手が間違っていると感じる限り、怒りの感情に振り回され続けてしまうのです。

はじめの一歩は、自分の中にある「〇〇すべき」を知ること

まずは、自分の中にある「〇〇すべき」を洗い出してみることが第一歩です。

このことの理解なくして、怒りをコントロールすることは出来ません。

実は、この「〇〇すべき」と上手く付き合うことが、怒りをコントロールするための最終目標と言っても過言ではないのです。

しかし、「〇〇すべき」と上手に付き合うのは決して簡単なことではありません。

なぜ難しいのかというと、「〇〇すべき」はその人にとっての正解であり、簡単には譲れない価値観だからです。

そして、もっと厄介なことがあります。

この「正解」は、TPO(時代、立場、状況)によっても変わるため、往々にして他人と一致しないのです。

こう考えると、基本的には、他人と「〇〇すべき」が一致しないことが当然で、一致することの方が奇跡的にも思えてしまいますよね(笑)。

怒りの感情は、身近な対象ほど強くなる

赤の他人と自分とでは持っている価値観が大きく違います。

しかし、地球の裏側の人間に腹が立たないのはなぜでしょうか。

それは、怒りの感情は、「身近な対象ほど強くなる」という性質を持つからです。

価値観が大きく違っていても、自分の生活とは関係のない人には腹も立たないというものです。

逆に、我が子や家族に対しては、どんなに些細なことであっても感情的になってしまうのです

 

怒りが「身近な対象ほど強くなる」のは、どうしてでしょうか。

それは、自分に身近な対象は「自分がコントロール・支配できるはず」だと考えてしまうからです。

しかし、我が子は本当に親の思い通りになるものでしょうか。

「寝る前の絵本は2冊まで」
「寝る前にはおしっこを済ませること」

各家庭で決めている毎日の約束事であっても、毎回言うことを聞かないのが子供というものです。

なぜそうするべきなのか理屈を説明したとても、毎回言うことを聞かないのが子供というものです。

毎日本当にイライラしますよね(笑)。

親とこどもとでは、そもそもの優先順位が根本的に違うのです。

こどもの優先順位だけでは、当然、お風呂、食事、睡眠といった日常の生活も規則正しく送ることは出来ません。

しかし、親の価値観を完全にこどもに押し付けてしまっては、幼児期の健全な発育も望めないのではないでしょうか。

親の顔色を読むこどもを育成することが子育てなのでは無いと思います。

「子供は親がコントロールできるものではない」と達観することが、幸せな親子関係の近道ではないでしょうか。

②怒りを鎮静化させるアンガーマネジメントの方法

これまで、怒りは、自分の中の「〇〇すべき」と相手の行動とのギャップによって生じるという「メカニズム」について述べてきました。

また、「私は正しい」という思い込みが、怒りが収まらなくなる「燃料」だとご説明してきました。

次は、怒りを鎮静化させる方法についてです。

怒りは人間の自然な感情であるため、怒るべきときには怒りを表に出すことも必要です。

しかし、怒るべきではないときには、怒りを鎮静化させることもまた必要です。

これが出来ないと、怒ったあとで「あのときあんな叱り方をしなければ良かった」と後悔することになってしまいます。

怒りを鎮静化させる具体的な方法とは?【消火活動編】

ついカッとなってしまったときに身近に消火器があるのとないのとでは火の広がり方が変わってきます。

火事も怒りも、初動対応が大切なのは共通しています。

以下に具体的な方法をお示しします。

全ての方法を同時に採用するのではなく、一度一通り試してみて、自分に合う組み合わせを見つけて実践すると効果的です。

①タイムアウト:その場を一時的に離れる

その場を離れて一旦感情をリセットする方法です。

気を付けるのは、相手に「また戻ってくる」と伝えることです。

ちょっとトイレに行ってくるとか、水を飲んでくると伝えて、その場所と感情から離れてみるのです。

②カウントバック:数を数える

怒りを覚えたときに、数を数えて気持ちを落ち着かせる方法です。

有名なのは「1,2,3、、」と6秒数えて待つことで、怒りの衝動のピークをやり過ごすものです。

しかし、敢えて少し複雑な数え方をするという方法が私のお勧めです。

これは、例えば100から5ずつ引き算をして70まで数える方法です。

頭の中で簡単な計算をすることで、脳の中で怒りの意識が占める割合を下げることが出来ます。

③コーピングマントラ:おまじないを唱える

頭に血が上ったときにとっさに「魔法の呪文」を唱えることで落ち着きを取り戻す方法です。

言葉は頭にすぐに浮かぶ言葉であれば何でも構いません。

大きく息を吸って吐く深呼吸をおまじないのように繰り返すのも効果的です。

④スケールテクニック:怒りの強さを数値化する

怒りを1から最高を10にして10段階の数値で表現する方法です。

過去のあの怒りと比較して今回はどうか、と考えることで怒りが相対的に理解して対処しやすくなります。

怒りに振り回される前にできることは?【事前予防編】

大切なことは、自分と相手の「〇〇すべき」を予め知っておく工夫をすることです。

その具体的な方法をお伝えします。

①自分の「〇〇すべき」を見える化する

自分の価値観(べき)を把握し、それを相手に知ってもらうことから始めましょう。

繰り返される不毛な摩擦や、悪気の無い不測の衝突を避けることが出来ます。

ここだけは譲れないことを話し合い、それがなぜなのかを伝えることで折り合いを付けることも出来ます。

同時にどうにも折り合わないことも事前に分かります。

「裏切られた!」と感じるショックが相当程度減少するため、実はこの「折り合わないこと」をお互いに理解するとも大切なことです。

②自分の「〇〇すべき」を相対化する

相手の価値観(べき)に関心を持ち、相手の価値観(べき)を受け入れることはとても重要です。

「自分の意見が絶対に正しい」という思い込みを減らし、怒りのエネルギー量を下げることが出来ます。

③人間の「〇〇すべき」は移ろいやすいものだと知ること

個人の価値観は、その人が育ってきた環境や経験によって大きな影響を受けます。

より大きな観点で見れば、その時代の価値観が反映されていたり、男女の立場によっても変わるものです。

もっと視点を小さくすると、その日の機嫌によって「〇〇すべき」と感じる強さは変わるのです。

自分の価値観を少しでも譲歩すると世界が終わるようなものではないと知ると、自分のこだわりも少し滑稽に思えるものです。

③怒らずに子供にメッセージを伝える3つのポイント

日々子育てをしている親として、子供に「伝えられた」と感じる瞬間が何度かあります。

覚えている位なので、非常に少ないのが恥ずかしいところです。。

・親の感情を素直に伝える

以前は、親はあまり感情を出さずに淡々とやってはいけないことを伝えるべきだと考えていました。

こどもを叱る際に感情的に叱っては逆効果になる、と言う点は変わりません。

しかし、親の感情を伝えても良いのだと考えが変わりました。

ある時、子供に「パパは悲しいよ!」と言ったとき、子供の表情がさっと変わりました。

「大変なことをしてしまったのだ」と気付いてくれたようです。

今はパパに叱られている時間という感じ方ではなく、「これからは気を付けよう」と気付いてくれた瞬間でした。

こどもを主語にしてその行動を注意するよりも、親がどういう気持ちになったのかを伝えた方が子供の心にダイレクトに響くように感じました。

・いずれ出来るようになると思って、気を長くして「待つ」

何度もこどもに同じことを言って嫌になることってありますよね。

毎朝であったり、毎晩寝る前であったり。。

数分前と同じことを言わされると怒りの導火線に火がついてしまいます。

ただ、長い子供の人生において、今上手く出来ないことがどれだけの影響を持つのかと考えると、どうでしょうか。

驚くほど些細なことではないか、と気付かされます。

成長していく中でいずれは必ず出来るようになるのだから、それが来週なのか来月なのかの違いに目くじらを立てても仕方が無いものです。

現在、息子はお箸の練習中です。

今まで使ったことのない筋肉を使うようで四苦八苦していますが、今日焦らせて変な使い方を我流で身に付けてもらっても仕方ありません。

また、お箸を使いたくなくなるような厳しい指導をしても気が滅入ってしまいます。

息子の成長に合わせて、腰を据えて「待つ」のが正解なのだと思って接しています。

・子供を一人の人間として接する

先程、怒りの感情は、「身近な対象ほど強くなる」という性質を持つとお伝えしました。

親が子供を叱る際には、子供のために「良かれと思って」叱るのが常だと思います。

しかし、だからこそ親は冷静に子供との距離感を測らなければならないのだと思います。

子供を論破することは簡単です。大人の方が知識も経験もあるのですから。

でも、より大切なことは「自分がして欲しくないことは、他人にしてはいけない」ということです。

以前の記事でも書きました。是非ご覧ください。

【備忘録】子を育てる親として肝に銘じておきたいこと

親は子供の人生の応援団です。

親の価値観を押し付ける対象ではありません。

子供を一人の人間として認めることが、「〇〇すべき」の呪縛から解かれる近道なのではないでしょうか。

最後に

冒頭にも書きましたが、アンガーマネジメントは、怒らないための方法ではありません。

怒る必要があるときに適切な怒り方が出来て、怒る必要がないときには怒らないようにすることを目指すトレーニングなのです。

感情に振り回されないために、事前に予防的に出来ること、そして実際に怒りの感情が起きたときに出来ることを具体的にお伝えしたつもりです。

「〇〇すべき」という価値観や、怒りの感情の衝動の強さには個人差が大きいので、今回お示しした方法を幾つか試してみて、自分に合った方法を見つけ出してみて下さい。

子育ては今日も続きます。一緒に頑張っていきましょう。